歯周病について

歯周病は炎症が歯ぐきの範囲に納まっているものを歯肉炎(G)、歯茎を越えて歯を支えている骨(歯槽骨)まで進行しているものを歯周炎(P)と言います。歯周炎は程度により(P1~P4)に分かれます。従いまして、歯周病とは歯肉炎と歯周炎の総称のことであり(G・P1・P2・P3・P4)の5段階のわけることができます。これら歯周病は、決して大人だけの病気ではありませんし、また年をとると必ずかかるというわけでもありません。最近では歯周病の低年齢化も問題になっています。ただし毎日のブラッシングさえ、しっかりしていただければ必ず予防できますし、治療に根気強く通いメインテナンスをしっかりしていただければ進行を止めることも出来ます。絶対に諦めないで下さい!!

内科的歯周治療

画期的な歯周治療!

この言葉はまだ皆さん聞き慣れないと思います。従来までの歯周治療は、スケーリングやルートプレーニングといった歯石やプラークを除去することに重きが置かれていました。勿論この様なデブライトメントは非常に重要ですし、現在も、私はこの点に重きを置いて治療を勧めています。

ただし、全ての患者さまが、この治療法で歯茎の腫れ、出血や排膿が止まるわけではありませんでした。私も、歯石やプラークを除去しても歯周組織が改善しない症例に随分苦労させられました。また、治療を進めていっても一向に症状が改善しないために、途中で治療を投げ出される患者さまに自分の不甲斐なさを痛感していました。

ところが、非常に画期的な治療法が近年注目されるようになってきました。それが内科的歯周治療です。この治療法は従来までの歯周治療と併用して、お薬で口腔内の歯周病菌を除菌していく治療法です。正直私も最初は半信半疑でした。(私達が大学で学んできた歯周治療とは全く異なる治療法だったので・・・)

ところが、9割の患者さまがお薬を使用してから3~4日で歯茎の腫れ、出血および排膿が消えていくのです!!

治療法はいたって簡単、抗生物質を3日間服用していただき、後は特殊なお薬で歯ブラシしていただくだけです。もしこの治療法に御興味がございましたらご連絡下さい。長年の悩みがなくなりますよ。

 

G

炎症が歯茎の範囲でおさまっているもののことです。思春期の頃から起こり始めることが多いと言われていますが歯の手入れが悪いと、それ以前に起こることもあります。最近では多くの幼稚園児・小学生がこの歯肉炎になっています。歯磨き時の出血や食事中の出血により気づくことがよくあります。この段階では歯科医院で歯の清掃、歯石を除去し(スケーリングといいます)歯磨き指導を受け、きちんと磨く癖をつけてくだされば比較的早く治癒します。

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P1

炎症が歯くぎを突破し歯槽骨(歯を支えている骨)にまで及んだ状態です。歯と歯ぐきの間の溝(病的な状態では歯周ポケットと言います)が3mm程度とやや深くなります。この状態では通常あまり症状はありません。歯科医院でのスケーリングとブラッシング指導を受けていただければ比較的早く進行を止めることができます。

~歯周ポケット~
先程、「歯周ポケット」という言葉が出てきましたが、わかりにくいと思いますのでここでご説明します。健康な状態では歯ぐきのすぐ下に骨がある為、歯と歯ぐきの間の溝に器具を挿入しても骨がある為、すぐ骨に器具が当たります。(すなわち汚れが溜まる溝が浅いということです)しかしながら歯周病が進行し骨が溶けてしまうとこの溝(歯周ポケット)はドンドン深くなっていく為、不潔域(汚れが溜まり歯ブラシ等の毛先が入りずらくご自分でコントロールできない場所)が広がっていきます。

この深くなってしまった溝を歯周ポケットと言います。

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P2

炎症によって溶かされた骨の量が更に多くなり、歯周ポケットも4~5mmと深くなっていきます。この状態になると歯槽骨(歯を支えている骨)の吸収もかなり進むため歯が左右に少し揺れたりすることもあります。歯の揺れが気になりだした方は、少しでも早く歯科医院にご相談されることをお勧めいたします。つぎのP3にまで歯周病が進行した場合、見るも無残な結果を招きます。

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P3

歯周ポケットが6mm以上の深さに達し,いくら心を入れ替えてブラッシングを行ったとしても、もう自力で治すことは出来ません。

この段階になると、歯がグラグラ揺れるため硬い物を噛む時,痛みや不安を感じます。また口臭もきつくなり、人と対面で話をすると、相手に迷惑がかかることになります。

治療もかなり長期にわたりスケーリングとブラッシング指導を行っていかないと進行を止めることは出来ません。また場合によっては特殊な手術が必要になることがあります。このP3になる前に歯科医院にご相談することをお勧め致します。

この段階の患者さんを今まで多数拝見いたしましたが長期の治療に耐え切れず途中で治療を投げ出してしまい、抜歯にいたる方が多くいらっしゃいます。

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P4

歯を支えている歯槽骨がほとんどなくなり、歯は前後左右上下に動いてしまう状態で、ほとんど食べ物を噛むことが出来ません。(歯ぐきの皮1枚でつながっている常状態)

この段階になってしまうと歯を保存することが非常に困難になり残念ですが出来るだけ早期に歯を抜いて代わりの物を入れていかなければなりません。もし仮に残せたとしても、その後、出来る治療は延命治療だけになってしまいます。ここまで進まないように気をつけましょう。

高度に進行した歯周病のレントゲン像

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歯根周囲の骨の高度な吸収が認められる。ここまで歯周病が進行すると、歯の保存は厳しくなります。ここまで進行する前にご相談下さい。